NO.1837 「森会長の最後通牒」 2006年5月15日 パート4

 午後5時。赤坂プリンスホテル旧館の2階にある森派会長室で森喜朗会長に会った。森会長と「1対1」で話が出来ると思っていた。が、なぜか2人の派閥幹部が同席していた。
 
 今日、森会長に会うことは誰にも言わなかった。「直滑降レポート」にも書かなかった。それにもかかわらず、毎日新聞の夕刊に「山本氏、今夕、森会長と面談」みたいな記事が掲載されたらしい。恐れていたとおり、ホテルの玄関には6,7台のテレビカメラと大勢の記者がつめかけていた。まさか、今日の会談の後で「改心した」という踏み絵をさせるために、「誰かが意図的にセッティングした」なんてことはないだろう。うん、考えすぎだな。
 
 森会長と「どんな会話を交わしたのか」は、書かない。会長室を出て、1階の玄関に向かった。たちまちテレビカメラとペンに囲まれた。「会長から突出しないようにと注意がありました。会長の言葉を真摯に受け止め、真剣に考えると言ってきました。」「森会長にここまで迷惑をかけてしまって…政治は苦しいです。が、安倍官房長官を応援する姿勢は変えられません。これからも、いろいろと考えながら、なぜポスト小泉が安倍総理でなければならないのかを発信していきたいと思います。」ま、簡単に言うと、こんなコメントをした。
 
 ふむ。所属派閥の会長から「イエローカード」(警告)に続いて「レッドカード」(出場停止)を突きつけられた。「出場停止」の次は「除名」しかない。ということは、これ以上、派閥会長の気に障る言動をしたら「除名処分」になるということだろうか。
 
 自分は頭がシンプルなせいか、どう考えてもよく分からない。まず、自分が総裁選挙で応援すると言っている安倍官房長官は(たまたま)同じ派閥のエースだ。しかも、派閥の会長が「総裁選挙での候補者の一本化はしない、複数の立候補を容認する」という方針を発表している。そういう状況の中で、なぜ「派内の有力候補を応援する」とメディアで発言したら「派閥をクビになる」のか。その理屈がどうしても理解出来ない。自民党の長い歴史の中でも、「派内の候補者の応援をやりすぎたから」という理由で派閥を除名になったケースは皆無だろう。
 
 さらに分からないことがある。テレビで「安倍支持」の発言をした森派議員は自分1人ではない。さらに、森会長が「安倍だ、福田だのと言うな!」というのであれば、福田康夫元官房長官の応援団として出演した派閥の議員も同罪のはずだ。どうして毎回、山本一太だけがやり玉にあげられ、他の議員は全く「お咎めなし」なのだろうか?安倍さんのために歌を作ったから?それとも自分が他の政治家より目立つからだろうか?同じことをして「除名になるメンバー」と「免責されるメンバー」を分ける基準は何なのだろうか?派閥会長の個人的な好き嫌いなのだろうか?
 
 加えて、「言動を自粛する」とか、「刺激的な発言を控える」というのは、具体的にはどんなことを意味するのだろうか?すべてのテレビ出演を断ることなのか、それとも二度と歌を歌わないことなのか、この「直滑降レポート」を中断することなのか…これも分からない。まさか、これからメディア出演の要請があった時は、その度に派閥会長に相談し、会長が「誰が、いつ、どんな発言をするか」を決めるなんてことはないでしょう?!
 
 「派閥」とは、つくづく「不思議な組織」だと思う。会長は選挙で選ばれるわけではない。会長交代のルールもない。恐らく「除名」の規定というのも存在しない。所属メンバーの「除名」は、総会に諮って決定するものなのだろうか?それは多数決なのだろうか?それとも会長が「除名だ」といえば、「除名された」ことになるのだろうか?派閥は会長の私物なのか、それとも数名の幹部が共有しているものなのか、あるいはメンバー全体の所有物なのだろうか??考えれば考えるほど、分からなくなってくる。ひとつハッキリしていることは、総会で除名を決定する場合には、必ず(複数の議員から)「異論」が噴出する。「清和政策研究会」は、そこまでおかしくなっていない。
 
 自民党最大派閥の長である元総理が、マスコミ関係者まで呼び込んだ総会で自分に突きつけた「レッドカード」(=最後通牒)だ。当然、重く受け止めなければならない。これに対して、派閥の同僚議員(というか他派閥の議員も)やマスコミ関係者は口を揃えて、「そんな理由で除名なんて出来るはずがない」と言う。が、楽観はしていない。これからも「安倍支持の旗」は降ろさないと決めている。山本一太が「除名処分」となる可能性は十分あると考えている。
 
 ただし、もし「派内のエースを突出して応援したから」などという理由で除名されるようなことがあれば、森派にとって大きなイメージダウンになることは間違いない。「候補者調整はしない」と言いながら、その実、「派閥の論理」でメンバーの自由な言論を封殺する。派閥の会長の意にそぐわない発言をする者は追い出される。まるで「恐怖政治」のような構図に見えてしまうだろう。
 
 派閥の長が総会で(全員の前で)1人の議員を(数回にわたって)名指しでつるし上げるなどというのは、尋常なことではない。そんな「イジメ」のようなことまで、派閥の会長にやらせてしまった。そのことは大変申し訳ないと思う。が、自分は派閥をやめるつもりはない。「除名処分」も受け入れられない。どう考えても、「間違ったこと」をしているとは思えないからだ。
 
追伸:明日の朝、2つのテレビ番組から生出演の依頼があった。テーマは「派閥と総裁選挙」(?)だと思う。せっかく声をかけてもらったが、今回は断った。明日の明け方までに終わらせなければならない「緊急の仕事」がある。さらに、スタジオで何を言っても「森会長が必ず悪者になる」と思うからだ。
 

山本 一太